「ああ、恭弥。お帰り」
「・・・ねぇ、それ何?」
雲雀は、の膝の上にいるものを指さして聞いた
Jealousy Cat
「メインクーン。ロング&サブスタンシャルタイプ。毛色は、ブラックで、原産地はアメリカ」
「そんなこと聞いてないでしょ。僕が聞きたいのは、なんでソレが応接室にいるのかってことだよ」
「なぁ、この子すっごい可愛くないか?」
「もしかしなくても僕、無視されてるよね?」
嬉しそうに膝の上の猫を撫でているには全く聞こえていないらしい
の膝にいる猫は、まだ小さな子猫で撫でられて嬉しそうに喉を鳴らしている
なんか、すっごくムカつく
「学校に動物の持ち込みは禁止だよ」
「捨てられてたから拾ってきたんだよ。こんな可愛い目でミャアミャア鳴かれたら、拾うしかないだろ?」
「じゃあ、元の場所に戻してきな。」
ホラ、とが子猫を抱き上げ雲雀の目の前まで持ち上げる
だが、雲雀はそれを無視し、冷たい返事を返した
「そもそも、ソファに毛がつくでしょ?」
雲雀はそう言い捨てると、書類を取り、イスに座った
沈黙
何も言わないを不思議に思い、ふと顔を上げた
目の前には、の顔のアップが
「な、何?」
「学校で飼っちゃ駄目か?」
真剣な顔で何を言い出すかと思えば。さっき言ったことが聞こえなかったのだろうか
自分でも分かるほどに、ムスッとした顔をしながらもう一度言おうとすると、手を握られる
「ダメ、か?」
秘技・フェロモン純度100%美声
この人、絶対狙ってるよね?
無敵の美声を間近で聞かされ真っ赤になる雲雀。ちなみに、これの餌食になったものは数知れず(ぇ
「じ、自分で世話するならいいよ・・・」
「本当か!ありがとな!」
あんなこと言わなきゃよかったよ
応接室に響く単調なペンを走らせる音と、時節上がる歓声とバタバタという音
ペンを走らせる音だけなら普通だが、歓声が応接室から上がるなど、皆無に等しい
校舎裏の悲鳴なら日常茶飯事だが
「とっ、よっ!」
が紐を振れば、猫もそれについてジャンプをしたり、猫パンチを繰り出したりする
(書類などそっちのけで)猫とともに遊ぶは、一見すれば微笑ましいものだが、雲雀にとってはイライラの対象でしかない
「、仕事し「うわっ、凄いな!これならどうだ!」・・・・・」
僕は空気か何か?
雲雀はさっきからに仕事をするように言ってるのだが、は聞く耳持たずで遊びに没頭している
が来るまで無視などされたことのなかった雲雀
普通ならば即、咬み殺しているところだがだから許されるのだ
けど、いい加減書類片付けてくれないとね
そう思った雲雀は、自分の得物のトンファーを取り出した
「はい、お終い」
その時、が動きを止め、紐を元に戻した。子猫は物足りなそうな顔をしている
のことだから、自分の殺気を感じたのだろうか
雲雀はそう思ったが、は予想外の行動に出た
両手で自分の顔の前まで子猫を持ち上げると、
その額に口付けた
ガタッ!
雲雀は勢いよく立ちあがり、早足でに歩み寄る
「ん?恭弥どうし、って、あ、おい!」
子猫を掴み、向こうの机に放り投げる
さすがは猫と言ったところか、子猫は一回転した後、床に着地し不満げな鳴き声を上げた
白兎が見たら、雲雀を即抹殺しているだろう(過激な動物愛護主義者
そして、雲雀はの隣に座った
「恭弥?」
「・・・」
「おーい」
「・・・」
「・・・この唯我独尊僕様暴力主義者め」(ボソッ
ジャキッ
「聞こえてるじゃないか」
が笑いながら言うと、雲雀はトンファーを下げた
「なー、なんで猫、投げたんだ?」
「・・・別に。邪魔だったからだよ」
「それなら、学校で飼うの許可しなきゃよかっただろ?」
あの声の前でどう抵抗しろと?っていうか、あれ狙ってたんでしょ?
素知らぬ顔をしながら言うは、あまりに普通すぎて逆に演技にも見えてくる
「あ、もしや恭弥。猫に嫉妬してたとか?」
「はぁ!?僕が嫉妬!?」
まさか、そんなことあるはずないでしょ!?と猫がうるさくしてたからだよ!!うん、絶対!!
くつくつと笑っているを見て、唖然とする雲雀
「まー、優秀な部下が猫に取られたら、プライド傷つくだろうしな」
「自分で優秀って言っていいの?」
「書類仕事は神的に凄いだろう?」
「しょっちゅうサボってるけどね」
「細かいことは気にするな!」
「いや、全然細かくないよね?」
時々、本当は馬鹿なんじゃないかと思うときがよくある
その時、が急に話を切り替えた
「恭弥、なんで私があの猫拾ったか分かるか?」
「目に負けたって自分で言ってたでしょ?」
「それもあるんだが、もう一つ理由があるんだ」
そう言うと、俯き小さな声であとを続けたが、雲雀には聞こえなかった
「何?聞こえないよ」
「・・・恭弥になんとなく似てたから」
はそう言うと、バッと立ち上がり、窓際に立った
髪の間から覗く耳は微かに赤いように思う
え、ねぇ、ちょっと!この子可愛いんですけど!
思いがけない言葉を言われ、つられて雲雀も顔を赤くする
天下の雲雀様はどこへ行ったのだろう(酷
窓際に立っていたが、また雲雀のもとへ戻ってきた
そして、そして掠めるように頬にキスをした
「っ!!??」
してやったりというように笑うを見て、雲雀は演技だったのだと気づいた
耳が赤いように見えたのは、思いこみで、窓際の立ったのは照れ隠しではなく演技
つまり、に騙されていたのだ
「人をよく振り回すところが猫そっくり」
僕よりよっぽど君の方が猫に似ているよ
そう雲雀は思い、苦笑した
ま、キスをしてもらえたから、あの猫には感謝してあげるよ
その後、正式に学校で飼うことになった猫が並中のアイドル的存在になり、が世話を焼くのを見て、雲雀がまた嫉妬するのは別の話
猫を拾った理由はそれだけじゃない
恭弥がやきもちを焼くところを見てみたかったこともある
最近、恭弥は付き合いが悪かったからな
こんなに簡単に引っ掛かるとは思いもしなかったけどね
<あとがき言う名のお詫び>
れあき。様からで、ギャグ甘雲雀でお送りしました!
あ、甘は難しいですね・・・。そこにギャグを混ぜるのも難しい!
雲雀が猫にやきもちを焼く話だったのですが、嫉妬しているところがあまり書けてませんね!
リクエストに沿えていなかったら、本当にすみません!
ありがとうございました!これからもヘタレな管理人と*現実逃避*をよろしくお願いします!
返品は年中受け付けてますので!